【厳選2社】DNA鑑定サービスをやってみました【愛犬のルーツがわかる】

飼い主
飼い主

愛犬のDNA鑑定ってやってみたいけど、どのサービスが1番いいのかな?

こんにちは!ドッグトレーナーのまほ(@maho_dogtrainer)です。

前回の記事で紹介した、愛犬の犬種がわかるDNA鑑定サービス。

今回は友人の愛犬に協力してもらい、OrivetとEmbarkの両方で鑑定を行ってみました。

まほ
まほ

同じような結果が出るのか、個人的にも興味があったんだよね!

「DNA鑑定サービス」ってなに?という方は、こちらの記事で解説しています。

それでは結果を詳しくみていきましょう。

協力してくれた友人の愛犬をご紹介

協力してくれた友人の愛犬

ステラちゃん(@Stella_maipet)は、散歩やトレーニングが大好きな雑種の女の子。

もともとは山の中で暮らしていましたが、生後2か月でアニマルシェルターに保護されて、今のおうちにやってきました。

身軽でスラッと長い手足に、立ち耳のキリッとした顔立ち、短く薄い茶色の被毛で少し黒っぽいお鼻まわり。

見た目はまさに雑種の野犬で、野生で生き残るために有利な特徴を受け継いできたのかな、という印象です。

経験的に、元野犬は警戒心が強い傾向にありますが、ステラちゃんは初対面の人や犬でも上手に付き合うことができ、はじめての場所でも落ち着いて過ごすことができます。

天真爛漫で物怖じしない性格に育ってくれたのは、飼い主さんが丁寧に社会化やトレーニングに取り組まれたことが大きく影響していると思います。

オスワリやマテなどのオビディエンスや、オテやクルンなどのトリックもとっても得意です。

今回の鑑定には、こんな魅力いっぱいのステラちゃんに協力してもらいました。

Orivetの鑑定をやってみた(DNA犬種鑑定)

Orivet公式ウェブサイト

OrivetのDNA鑑定は、どのような犬種が含まれているかだけでなく、両親の犬種まで推定してくれるのが特徴です。

DNA犬種鑑定の申し込み

Orivet公式ウェブサイト

OrivetのDNA鑑定は、公式ウェブサイトから注文できます。

検査報告書を「PDF版データ」にするか「郵送希望(1頭につき500円)」にするかで金額が変わります。

今回は「PDF版データ」を選択。わたしが購入したときは14,500円でした。

DNA犬種鑑定のサンプル採取

OrivetのDNA検査キット

注文から5日ほどでDNA検査キットが届きました。

日本語の説明書がついており、検査でエラーが起きないようにするための注意点などが丁寧に書かれています

説明書のとおりに、スワブ(専用のブラシ)で両方のほっぺの内側から口腔粘膜を採取します。

採取が終わったら、申込書とサンプルを封筒に入れてOrivet Japanに送付します。

DNA犬種鑑定の鑑定結果

Orivetに返送してから2か月半ほどで結果が届きました。

まほ
まほ

Orivetは鑑定書を日本語訳してくれるので、とにかく結果を見るのが楽ちんでした…!

犬種構成と両親

DNA犬種鑑定の鑑定結果

結果を要約すると、ステラちゃんは

・両親のどちらにも柴犬が含まれている
・両親のどちらかにはチャウ・チャウ、甲斐犬、ポメラニアン、ラット・テリアが含まれており、もう一方には珍島犬、秋田犬、アナトリアン・シェパード・ドッグが含まれている
・祖先の犬種として信憑性があるのは、柴犬、珍島犬、チャウ・チャウ

とのことでした。

つまり、Orivetによるとステラちゃんには純血種が含まれているのだそうです。

ただし、Orivetの公式ウェブサイトにも説明があるように、

・和犬のデータが少なく、正確な鑑定ができない場合がある
・海外でも生息数の多い秋田犬、柴犬、スピッツなどは検出できる
・北海道犬、甲斐犬などのルーツが混じっていても、これらの起源である大陸犬(チャウ・チャウ、珍島犬など)として検出される可能性がある
・DNA配列が非常に近い洋犬が検出されることがある
・日本犬の鑑定でも洋犬が含まれることがあり、洋犬の含有率が10%前後またはそれ以下の場合は、Orivetでは検出できない和犬のルーツだと判断するのが自然

ということも考慮する方がよいと思われます。

たしかに、ステラちゃんは柴犬と珍島犬の中間のような顔立ちで、体格は珍島犬に似ています。

子犬の頃に保護されたとはいえ元野犬のため、警戒心が強く、早期の社会化が特に必要という性格面も、日本犬の特徴と一致していると言えそうです。

そもそも柴犬は、中国大陸から入ってきた犬を他の犬種と交配させてできあがった犬種なので、多少は似た部分があるのは当然かもしれませんね。

まほ
まほ

ちなみに、飼い主さんはプロのドッグトレーナー。頑張って社会化に取り組まれていたので、ステラちゃんは人間や犬とのかかわり方がとても上手です!

年齢とかかりやすい疾患

年齢とかかりやすい疾患については、下図のように記載されていました。

DNA犬種鑑定の鑑定結果

Embarkの鑑定をやってみた(Breed ID Kit)

Breed ID Kit

EmbarkのDNA鑑定は、どのような犬種が含まれているかだけでなく、4世代にわたる家系図を作成してくれるのが特徴です。

Breed ID Kitの申し込み

Embark公式ウェブサイト

EmbarkのDNA検査キットはAmazonでも注文できますが、公式ウェブサイトの方が割安です。

ときどきキャンペーンもやっており、わたしが購入したときは109ドルでした(送料20ドルが実質無料)。

ステラちゃんは雑種なので、今回は「Mixed Breed」用のキットを選択しました。

Breed ID Kitのサンプル採取

EmbarkのDNA検査キット

注文から10日ほどでアメリカからDNA検査キットが届きました。

スワブ(専用のブラシ)でほっぺの内側と舌の下を30秒以上やさしくこすって唾液を採取します。

採取が終わったら、公式ウェブサイトでアカウントを作成し、サンプルを封筒に入れてEmbarkに送付します。

Breed ID Kitの鑑定結果

Embarkに返送してから1か月ほどで結果が届きました。

まほ
まほ

Embarkの鑑定書は英語なので、結果を解読するのに少し時間がかかりました…!

犬種構成と家系図

Breed ID Kitの鑑定結果

結果を要約すると、ステラちゃんは

・「Japanese or Korean Village Dog(日本または韓国のヴィレッジドッグ)」に分類される
・日本スピッツ、柴犬、甲斐犬、アメリカン・アキタ、土佐犬、コリア・ジンドー・ドッグ(珍島犬)、秋田犬と共通する短いDNA配列をもっている
・標準化された犬種の子孫ではない
・家系図をさかのぼっても、標準化された犬種の祖先はみつからないと思われる

とのことでした。

Embarkによるヴィレッジドッグの定義を要約すると、次のようになります。

・自由に繁殖して自由に歩き回る「外」の犬で、世界各地でみられる
・人間の住む場所や、その周辺に生息している
・アイランドドッグ、パリアドッグ(野良犬)、放し飼い犬とも呼ばれる
・地球上に生息する約10億頭の犬の4分の3を占める
・大昔に人間の狩猟地をあさっていたオオカミの遺伝子が長い年月をかけて変化した(飼いやすいうえに体が小さく、繁殖可能な年齢が若くなった)ことで生まれた

また、「Japanese or Korean Village Dog」とは、

・日本や韓国の田舎で自由に歩き回り、自由に繁殖する犬
・1900年代前半の韓国併合時に、朝鮮半島原産の犬種(ジンドー、サプサル、プンサンなど)と日本犬種が交配した結果、共通の祖先をもつようになったのかもしれない
・多くが日本犬と韓国犬のDNAの特徴をもっている

とのこと。

つまり、Embarkによるとステラちゃんは生粋の野犬なのだそうです。

前回の記事で紹介したような犬種構成や家系図は純血種を当てはめて作成されていたので、ステラちゃんの場合は「わからない」というよりは「作ることができない」という方が正しい解釈かもしれません。

一方で、複数の日本犬と共通するDNA配列をもっていることから、もしかしたら日本犬の祖先種にあたるのかもしれませんね

オオカミ度

Breed ID Kitの鑑定結果

「オオカミ度」とは、古代のオオカミの遺伝子をどのくらい持っているのかを示すEmbark独自の指標です。

ほとんどの犬は1%以下で、2〜4%だと高く、5%以上だとかなり珍しいとのこと。

ステラちゃんは1.5%なので、比較的高いと言えそうです。

Embarkの公式ウェブサイトでは他の鑑定結果も見ることができるのですが、同じように「Japanese or Korean Village Dog」と診断された犬はオオカミ度が高い傾向にありました。

年齢

遺伝子年齢(人間の年齢に換算)もわかるとのことでしたが、ステラちゃんの場合は記載がありませんでした。

他の犬の鑑定結果を見たところ、遺伝子年齢が表示されている犬の場合は「Based on the date of birth provided」と小さく記載がありました。

正確な生年月日がわからないと、遺伝子年齢は診断されないのかもしれません。

分布図

Breed ID Kitの鑑定結果

上の図は、Embarkがヴィレッジドッグの研究を行った地域の分布図です。

赤色が濃いほどその地域のヴィレッジドッグとDNAが似ていることを示しており、ステラちゃんの場合は日本と韓国あたりが最も赤いという結果になりました。

母方と父方の遺伝子

Breed ID Kitの鑑定結果

DNA配列から、愛犬の祖先がどこに住んでいたのかもわかるようです。

ステラちゃんのDNA配列から、母方の祖先は「B1グループ」の「B1cタイプ」であることがわかりました。

Embarkによる「B1グループ」と「B1cタイプ」の説明を要約すると、次のようになります。

・B1グループはヨーロッパやアメリカを起源とする犬種で2番目に多い母方の系統で、ヴィレッジドッグにもやや多くみられる
・戦勝国が世界各地の植民地に持ち込んだヨーロッパの犬にB1グループが多くいた
・B1cタイプはメキシコとレバノンのヴィレッジドッグから検出されている

つまり、ステラちゃんの母方の遠い祖先は、ヨーロッパやアメリカに住んでいた可能性があるということですね。

一方で、父方の祖先がどこに住んでいたかはわからないそうです。

Embarkによると、理由は

・すべての犬は2つの性染色体をもっており、メスには2本のX染色体(XX)が、オスにはX染色体とY染色体が1本ずつ(XY)ある。
・子犬は、メスの親からはX染色体を受け継ぎ、オスの親からはX染色体かY染色体のどちらかを受け継ぐ
・オスの親からX染色体を受け継いだ場合は子犬はメス(XX)に、Y染色体を受け継いだ場合は子犬はオス(XY)になる
・Y染色体をもたないメスの子犬の場合は父方のDNA配列を解析できず、父方の祖先のグループやタイプはわからない

とのことでした。

ステラちゃんは女の子なので、父方の祖先のグループやタイプはわからないということですね。

ちなみに、他の犬の鑑定結果を見たところ、男の子の場合は母方と同じように父方のグループ・タイプ・マップが表示されていました

その他

Breed ID Kitの鑑定結果

そのほかにも、同じように「Japanese or Korean Village Dog」と診断された犬たちの統計データが掲載されていました。

内容は以下のとおりです。

・名前ランキング(男の子・女の子)
・所在地
・体重
・体高
・母方の祖先のDNA配列タイプ
・父方の祖先のDNA配列タイプ
・毛色

統計データを抜粋すると、

体重:オスは11〜20kg、メスは9〜18kg
体高:オスは36〜48cm、メスは33〜46cm
毛色:茶・黒・白を含むタン(淡い茶色)が多いが、他にもさまざまな色がある

とのことでした。

ステラちゃんは、体重17kg、体高50cm、毛色は淡い茶色。

まさに「Japanese or Korean Village Dog」らしい容姿といえるようです。

OrivetとEmbark、どっちがおすすめ?

どちらの鑑定でも、ステラちゃんは日本犬や珍島犬に近いDNAの特徴をもつという点は一致していたので、納得のいく結果が得られました。

ただ、2社の鑑定結果を比較してみて、自分ならEmbarkをおすすめするなと思った理由は次の3つです。

・「犬種を特定できない」という点について具体的な説明があった
・鑑定結果としてもらえる情報量が多い
・鑑定結果が届くのが早い

愛犬のルーツを知りたいという方は、ぜひ各ウェブサイトで詳しい情報を確認してみてください。

見た目だけでなく行動にも祖先犬と同じ特徴がみられると、愛犬への理解がさらに深まるかもしれません。

Orivet Japan 公式ウェブサイト

Embark 公式ウェブサイト

この記事がみなさんのお役に立てたら嬉しいです!